やる気ゼロ証券マンのメモ帳

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金融商品入門(株式編④)

前回の記事はこちら。

karmand.hatenablog.com

今日は株価の変動について見ていきます。

 

⑧株式の価格変動リスク

 ①のところで触れたとおり、株式には価格変動が激しい、という特徴があります。下図は2019年9月の日経平均株価の価格推移を示すものです。大体前日比[1]プラスマイナス2ケタ円の値幅変動となっていて、前日と比べて最も大きく動いているのは9/27の-169円(前日比-0.76%)ですが、実はこれはかなり落ち着いた相場状況と言えます。例えるならばべた凪のような状態です。

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2019年9月の日経平均

 

更に下図を見てください。コロナウイルスが猛威をふるい、いよいよ世界的に雲行きが怪しくなってきた3月の相場です。

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2020年3月の日経平均

一日で数100円~1,000円単位と大きく動いていることがわかります。これは例えるならば大時化の状況です。3/13日は前日比-6.47%とかなり下落していることがわかります。

 また、一見してわかる通り相場の荒れ具合というのは基本的に一日単位で終わるようなものではなく、長期間にわたって継続することがほとんどです。こうした相場の変動しやすさ・荒れ具合を示す指標のことを「ボラティリティ」と呼びます。「ボラティリティが高い相場」と言えば2020年のような相場状況を、「ボラティリティが低い相場」と言えば2019年のような相場状況をそれぞれ示しています。ボラティリティは株式に限らず全ての金融商品に用いられる重要な概念です。

 金融商品には「リスク」があるとよく表現されますが、金融商品の世界における「リスク」とはボラティリティのことを指します。すなわち値段が下がることが「リスク」なのではなく、値段が上に行こうが下に行こうが、どちらにせよ将来の価格を見通せないという状況のことを「リスク」というのです。直観的にもわかるとおり、ボラティリティが高いということはそれだけ価格の振れ幅が大きいことを意味するため、利益率が高くなる、低くなるというそれぞれの可能性が高くなります。これを「ハイリスク・ハイリターン」と言います。ボラティリティについては補論で詳しく説明するつもりですので、もしあまりピンと来なかった方はぜひそちらを読んでからまた戻ってきてみてください。

 

⑨まとめ

 以上見てきたように株式とは企業にとっては資金調達手段であり、また企業の価値そのものでもあり、投資家にとっては利益をもたらしうる現金同等物です。また、その価格の推移を追うと経済の動向を捉えることも可能です。こうした多様な性格を持ち合わせていることが、株式の理解を妨げる要因となっているのかもしれません。しかしそれぞれの性質は切り離されるべきものではなく、密接不可分な関係にあるということがおわかり頂けたのではないかと思います。

 株式編はここまでとなります。次回からは債権について解説していきます。

 

[1] 「前日比」というときは通常前日の終値と当日の終値同士を比較します。株価を見るときに代表的な値段として選ばれるのはる終値であることがほとんどです。